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ハルケットの小さな勝利 モートン・ハルケット Wild Seed <by Stein Ostbo VG 09/02/95>

訳:あきこ

職人になるための最終試験に見事合格!モートン・ハルケットは、a-haにおいては音楽的に主動的な立場ではなかったが、Wild Seedで作曲家としての能力を開花させた。これは、我々にはありがたいことである。

Wild Seedは、ほど良く均整の取れたソロデビュー作だ。

政治色の濃い2つの詞は場違いではあるが、12曲、どれも感心するほど、滑らかさと力強さを併せ持っている。恐らく、ハルケットの知性ある価値観によって、(政治的な曲も含めた)全曲を収録することになったのだろう。この2曲が全体を乱していないということに重きを置いた方が良いだろう。

Wild Seedは第1に、モートン・ハルケットに、作曲家として、また、ボーカリストとしての勝利をもたらした。彼は以前よりも広い音域に渡る声を使っていて、それが上手い具合にいっている。次のステップであるコンサートが待ち遠しくなるところだ。

シングル A Kind Of Christmas CardはすでにVGで、サイコロの目のうち5つという評価をもってお伝えした。圧倒的なリフレインのある、力強いポップな曲である。

Spanish Stepsがセカンドシングルになるのは明らかだ。作曲はTorstein Flaknesで、5000 Miles〜のコーラス部分でグルーブ感のあるエレガントさを描き出している。ラジオにもってこいの曲。

Half In Love, Half In Hateは新たな低音の声を駆使している。ややはっきりしないメロディーで、モートンの傷つきやすく美しい声によって、初めて強さを帯びている。素晴らしいアレンジ。

クライマックス

Brodsky TuneはJoseph Brodskyの詩 "Bosnia Tune" だが、このタイトルはきっとレコード会社には少々過激なタイトルだったのであろう。アルバム中ほとんどの曲の作詞をしているホーバート・ラムをけなすつもりは毛頭ないが(注:この曲は彼の作詞ではないため)、曲も詞もアルバム中最もパワフルな仕上がりになっている。ボーカルの面で、モートンが、自分自身、そしてデヴィッド・ボウイと対面しているような、激しく、ドラマティックな曲である。

Wild Seedは最もロック色の濃い曲である。Anne Grete PreusのMillimeterのイントロを彷彿とさせるが、彼女の曲ほど良くはない。リピート部分の天才的なアレンジによって、頭からこの曲がなかなか離れない。

Los Angelesによって、また全てのトーンが低くなる。モートンが自らの声とコーラスしている、夢見るような声。そしてその声は天使のたわごとに降り注ぐ。

政治的

East Timorはまた違った政治的な曲だ。ほとんど天才的であり、かつ東洋的な、曲全体を貫くテーマのせいだけではなく、メロディーの面でも、最も強い仕上がりになっている。

Lay Me Down Tonightは、モートンが、これまでにないくらいうまく歌っている、なかなか魅惑的で荘重な曲である。

Tell Me What You Seeでは、広々としたじゅうたんのようなシンセの音域とドラムマシーンで再び実験を試みている。ハルケットの声がきちんと収まるべくアレンジされている。申し分のない曲。

StayはTell Me What You Seeのような(スペースが十分にある)曲ではない。メロディーは良いが、音と音があまりにも近すぎる。恐らくアルバム中最も特徴のない曲であろう。

Lord。モートン・ハルケットとアコースティック・ギター。1、2個所、メロディーがずれている所がある。しかしながら、神に祈って切望している曲にも関わらず、悲観的ではなく、良い気分になる曲である。

Ready To Go Homeは、新たなシンセのじゅうたんに乗って、農場へと飛んでいくようだ。器用なプロデュース側の策略によって、ハルケットは、ここでも幾つかの異なる声で歌っている。曲自体が曲を構築していて、聴く度に(曲の深みに気が付くような、)成長していく曲である。このアルバムの大部分に同様のことが言える。

さあ、キミたちも家に帰って(go home)Wild Seedを聴いてごらん。アルバムは月曜から発売だよ!

イギリスでのバッシング

イギリスの新聞は、モートン・ハルケットのアルバムWild Seedについて特には何も報じていない。イギリスのポップ・ミュージック・ライター、James Bennettは、このアルバムに最も低い評価を下している。

「この、憂鬱で己惚れたソロの実験で、彼は落ち目の時のスティングのように歌っている」と彼は記している。

スウェーデン人の間では可もなく不可もなく

スウェーデンでもモートン・ハルケットに感嘆した様子はない。Aftonbladet(注:新聞)のAnders Hvidfeldtは「(聴いてる間に)眠らないよう要注意」という見出しのもと、Wild Seedに5点中2点の評価を与えている。

Hvidfeldtとしては、実のところ、切れの良いビート感のある曲がほしくて、このような点を付けたのであろう。

Expressen(注:新聞)は5点中3点と、やや肯定的。「趣があって心地良い」というのがその結論。

2000-05-10 | EDIT
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